
リスティング広告を運用していると、「数字が思うように伸びない」「以前は獲れていたのに最近は獲れない」と感じる時期が、必ずと言っていいほどやってきます。そんなとき、多くの方が真っ先に手をつけるのが入札単価の調整や広告文の書き換えではないでしょうか。もちろん大切な作業なのですが、私がこれまで100社以上の運用に携わってきて思うのは、「成果が出ない」と感じたときほど、目の前の数字よりも一段上の視点に立ち戻る必要がある、ということです。
今回は、成果が伸び悩んだときに、まずどこから見直すべきかについてお話ししたいと思います。
意外と見落とされがちなのですが、「成果が出ない」と感じている状態は、人によってまったく違います。CPA(顧客獲得単価)が高くなったのか、コンバージョン件数そのものが減ったのか、それとも売上が伸びていないのか。同じ「成果が出ない」でも、原因も打ち手もまるで別物です。
ですので最初にやってほしいのは、「今、自分が何に困っているのか」を一文で書き出してみることです。「先月よりCPAが30%上がっている」と書ければ、見るべきは入札か広告文か品質スコアあたりだと当たりがつきます。「クリックは増えているのに問い合わせが減った」なら、見るべきはランディングページや受け皿の側です。漠然とした不安を、数字と一緒に言葉にし直すだけで、打ち手の精度はずいぶん変わってくるのではないでしょうか。
次に見直していただきたいのが、コンバージョン(成果と定義しているゴール)の置き場所そのものです。広告アカウントの数字をいくらいじっても、「何をもって成果とするか」がずれていると、結局どこにも辿り着けません。
たとえば、本当は「商談化」が事業に効くのに、フォーム送信をコンバージョンに設定し続けている。あるいは、計測タグがいつの間にか発火していない。こうしたケースは、現場では本当によくあります。広告の数字が悪く見えても、実は計測がずれているだけ、ということも珍しくありません。「成果が出ない」と感じたら、運用画面を触る前に、コンバージョンの定義と計測が今の事業に合っているかを必ず確認していただきたいと思います。
最後に、これがいちばん大切かもしれませんが、広告の中だけで答えを探さない、ということです。リスティング広告は、あくまで「需要のある人を連れてくる」役割を担っています。商品力、価格、ランディングページ、問い合わせ後の対応スピード。これらが弱ければ、どんなに広告を磨いても成果はついてきません。
競合が値下げをした、新しいプレイヤーが参入した、お客様の検討プロセスが変わった。広告の外で起きている変化に、自社の打ち手が追いついていない、ということも少なくありません。「成果が出ない」と感じたときこそ、広告のダッシュボードから一度離れて、事業全体を見渡してみる。遠回りに見えて、これがいちばんの近道だと感じています。
成果が伸び悩んだときに、入札や広告文をいじりたくなる気持ちはとてもよく分かります。ただ、その前に「困りごとを言葉にする」「コンバージョン地点を確認する」「事業の構造を見渡す」という3つのステップを挟むだけで、打ち手の精度はまったく変わってきます。手が止まったときこそ、視点を一段上げてみてください。AI時代になっても、この基礎と地道な見直しのサイクルが、リスティング広告の王道であることは変わらないと思います。
株式会社アイエムシー 大塚雅智
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