
「AIに聞けば答えが返ってくる時代に、わざわざ検索広告を出す意味はあるのか」——最近、こうした声を耳にする機会が増えました。AIO(AI Overview:AIによる検索結果の要約)やLLMO(大規模言語モデル最適化)といった言葉が広まり、検索のあり方が変わりつつあるのは事実です。しかし、私はこの変化を悲観していません。むしろAI検索が広がる今だからこそ、リスティング広告の「ある使い方」が効いてくると考えています。それが、指名検索を増やす運用です。
結論から言えば、リスティング広告で自社の名前を繰り返し目に触れさせ、「この会社に頼みたい」と名前で探してもらう流れをつくることが、AI時代に強い運用の形です。実践的な視点で掘り下げていきます。
指名検索とは、会社名や商品名で直接検索される行動のことです。AIがどれだけ賢く情報を要約しても、「結局どこに依頼するか」という最終判断は、今も人が下しています。そしてその判断の場面では、「あの会社の名前、どこかで見たな」という記憶が大きくものを言います。一般的な情報収集はAIで完結しても、依頼先を決める段階では、名前を覚えてもらえている会社が圧倒的に有利なのです。
つまり、AI検索の普及は、リスティング広告の役割を奪うのではなく、「認知をつくる」という役割の価値をむしろ高めていると言えます。
実際の運用では、二段構えで考えると分かりやすくなります。まず、一般的なキーワード(たとえば「リスティング広告 代行」など)の広告で、幅広く自社を露出させます。ここは、すぐに問い合わせにつながらなくても構いません。広告文やランディングページで会社名と強みを印象づけ、記憶に「種をまく」段階です。
その種が、後日「そういえばあの会社」という指名検索として芽を出します。このとき、会社名で検索されたときに広告がきちんと出るよう、指名キーワードの広告も用意しておくことが大切です。ここを放置すると、せっかく指名で探してくれたお客様を、競合の広告に横取りされかねません。種まきと刈り取り、両方の枠を持つことが肝心です。
この運用がうまくいっているかは、指名検索の数を毎月追うことで確認できます。一般キーワードの広告に力を入れた結果、数か月後に会社名での検索数が増えていれば、それは認知が着実に広がっている証拠です。指名検索の推移は、いわば認知づくりの通信簿。売上に直結する問い合わせ数だけでなく、この「じわじわ効いてくる指標」にも目を向けると、広告投資の意味が立体的に見えてきます。
リスティング広告は、単なる集客の手段にとどまりません。「名前で選ばれる会社」を育てるための投資でもあります。AI検索が広がるほど、指名で探してもらえる会社の強さは際立っていきます。今の広告が、目先の問い合わせだけでなく、未来の指名検索につながる認知づくりになっているか。一度、そんな視点で見直してみてください。
株式会社アイエムシー 大塚雅智
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